武甲山1295m
-bukosan-
 
武甲山
 奥武蔵の展望のよい名山だが
 石灰岩の山故に
 採掘で山肌が大きく削られ
 見るからに痛々しい
 
 
 2002/11/11(月)晴れ
 メンバー:Junjun.Kura.Yukky
 歩  程:4時間40分
 費  用:電車1680円+タクシー670円
 
   【半分の山】
以前友人から秩父の武甲山の話を聞いたことがある。 
石灰岩で出来ているため、どんどん削られているので早く行かないと登れなくなる。なかなかいい山なので行ってみるといい。』と言われた。 
八王子からは乗換が多いし遠いと思っていたが、Kuraが調べてくれたら、最近は連絡もよくそれほど時間もかからないことがわかった。 
八高線を使い、東飯能で西武線に乗り換える。 
 横瀬駅より見る武甲山  
横瀬駅に着く少し手前のトンネルを抜けると、大きくえぐられ白い山肌が痛ましい武甲山が姿を見せた。堂々として立派な山なのに、あまりにも無残な姿にびっくりしてしまった。 
横瀬駅にはタクシーはないので、前もって予約をしておかなければならない。     生川(うぶかわ)という大鳥居の前まで車は入れる。
この町にはセメントのプラントがたくさん立ち並ぶ。運転手さんが『以前は秩父セメントで有名で活気があったが、数年前につぶれ今は細々とやっている』と話してくれた。  その少し手前に延命水という美味しい水場があると言うので、停めてもらい山頂で飲むコーヒーのために水を汲んだ。
 でもそうすると、山の命は長くなるわけで、山を愛する人たちにはうれしいことだ。
  生川(うぶかわ)登山口   
 9時40分に大鳥居出発。マスの養魚場があるなだらかな林道を30分ほど歩き、登山道へ入る。  
信仰の山なので、所々に1丁目、2丁目・・・(山頂は52丁目)と苔むした道標が立っている。18丁目には豊富な水場もあった。傾斜がきつい杉林が延々と続く。 
  32丁目を過ぎ、大杉の広場という平らになったところに巨大杉があった。5〜6人でも抱え切れないほど大きく、まるで杉林の王様のように立ちはだかっていた。少し離れたところにも全部で3本あった。 
やっと杉林を抜け出ると展望が開け、向かいの山々の紅葉がちょうど見頃だ。今年は10月にビックな紅葉をたくさん見てきたが、低山の紅葉もまたほっとするものがある。 
以前は巻きながら登る道があったらしいが、削り取られてしまったため、右への道は通行止めになり、新しく直登の階段がついていた。 
大杉   これが段差が大きくとてもきつい。

やっと登りきったところが、武甲山の肩で、カラマツが黄金色に輝き展望がよいところだ。陽だまりの斜面でお弁当を広げている人たちがいた。

 

10分ほど登ると、広い場所に御岳神社が建っている。その横を通り『展望台1』と書かれた矢印に沿って進むと、、フェンスが張り巡らされた一角に出た。現在の山頂があり、以前の場所とは少し違うらしい。

 駅から見たときに大きくえぐられていた、ちょうどその上に立ったようで、覗き込むと眼下は真っ白な巨大採掘場が広がり、ブルドーザーやショベルカーが動いている異様な光景だった。
 こうして見ると、山が半分切り取られているのがよくわかる。  フェンスで囲まれた武甲山頂
 いつもの晴れ晴れとした気分とは違い、胸がチクリとするような山頂だった。
 展望はよく、広々とした秩父の町並み、遠くにはひときわ白い谷川連峰浅間山も雪をかぶっている。ギザギザした両神山はすぐ近くに見える。
 さっきの日当たりのよい斜面に戻り、私たちもお弁当にした。 長者屋敷ノ頭までは、ものすごい急坂で滑りやすいジグザグの道をどんどん下る。途中に丸太作りの避難小屋がいくつかあった。
 ぽかぽかの陽だまりで、延命水でいれた味噌汁と食後のコーヒーを味わい、浦山口へ向かい出発した。
 登りの杉林とは違い、気持ちのよいカラマツ林を下る。 少し前までは爆破によりこの辺りまで石が飛んできたのだろうか。古い看板には避難小屋までの最短時間が書かれていた。
  明るいカラマツ林   
 展望はこちらのコースが断然よく、ピストンしないでよかった。傾斜が緩くなってきたら、沢の音が大きくなった。滝のように流れる素敵な渓谷で、一休みすることにした。橋立寺までは林道を歩く。
 橋立鍾乳洞にも少し惹かれたがここはパスして駅に向かった。駅の近くには豊富な水場があり、ペットボトルに汲んで帰った。
 武甲山は表と裏の顔がまるで違い、登山道に入ってしまえば静かな深い森で、半分しかない山などとは想像もつかない。でもやはり半分はなくなってしまっている。こんな山もあることを知り、いろいろ考えさせられる山行だった。
 photo:yukky&kura