案内をしてくれるUさんのランドクルーザーに、似つかわしくないおじさんおばさん達が乗りこみ、東北自動車道を北上する。もう一台は新潟のSご夫妻の車で、7名での山行になった。 |
近年夏季の土日祝日はマイカー規制があり、岳駐車場でシャトルバスに乗り換え河原坊へ行く。早い時間にも関わらずバスは混雑している。さすが人気の山だ。 |
河原坊に着くと、携帯トイレ販売所が出来ていた。天然記念物保護のため最近は持参を勧めている。私達も皆購入する。話し好きなおじさんが、「NHKBSの人達が、撮影に行ったよ。9月に放送するらしい。」と教えてくれた。ウスユキソウの写真を撮るため、霧吹き持参だそうだ。なるほど、露に濡れた写真はそれらしく霧吹きを使っていたのだった。 |
リベンジ早池峰山 |
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十数年前に来た時は豪雨になり、それでも河原坊まで来たが、登山道は川になっていた。皆ようやくあきらめ、すごすごと戻ったのだった。 |
それからずっと気になりながらチャンスがない山だった。 |
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河原坊登山口(携帯トイレ販売所) |
山頂は雲の中 |
今日は麓は晴れていたが、近づくと山頂は雲に覆われている。 |
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早池峰の固有種保護と外来種を持ち込まないように、登山口には泥落としがある。 |
すぐに沢を渡る。しばらくはコメガモリ沢沿いに登る。濡れていると蛇紋岩は滑りやすく、注意が必要だ。 |
靴の泥落とし |
沢渡る |
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早くもシモツケソウ、センジュガンピ、クガイソウなどの花々が迎えてくれた。 |
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何度か渡渉を繰り返す。 |
頭垢離(こうべごうり)という水場があり、冷たい水でのどを潤す。ここからは伏流水となる。 |
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センジュガンピ |
蛇紋岩の岩場を登る |
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高山植物の踏みつけ防止のため、両側にロープが張られた岩場を登る。 |
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時々スーッと雲が切れ青空がのぞく。風が強く、空気はひんやりして下界の暑さが嘘のようだ。 |
固有種のナンブトウチソウが揺れている。 |
ナンブトウチソウ(固有種) |
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ミネウスユキソウ |
誰かがハヤチネウスユキソウだと言うが、よく似たミネウスユキソウやウスユキソウだった。エーデルワイスに似たホンモノはまだ見つからない。 |
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急なガレ場が続く。滑っても怖いが、岩を落とし下の人に怪我させないよう注意深く登る。 |
やっと正真正銘のハヤチネウスユキソウが咲いていた。 |
産毛に覆われ、気品のある美しい花だった。やっと出会えた。 |
ハヤチネウスユキソウ(固有種) |
御座走り |
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下って来た人が、小田越はものすごい強風で大変だったと言っていた。 |
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更に、ご座走りという一枚岩の急登、打石の岩礫地、仙丈ヶ岩という巨岩を巻くように登って行く。 |
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打石(ぶついし) |
千丈ヶ岩 |
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「きつい登りですね~」と追い越して行く人がいる。私達はゆっくりペースなので、割合楽だった。 |
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岩場を登りきると、お花畑が広がっていた。 |
山頂まではあと一息。 |
最後の岩場 |
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お花畑 |
早池峰山登頂 |
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11時、念願かない早池峰山登頂。 |
やはりまだ雲の中で、展望はない。ものすごい強風だ。 |
風をよけ、岩陰でお弁当にする。おにぎりも自家製漬物も美味しい。 |
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早池峰山登頂 |
避難小屋 |
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避難小屋の隣には携帯トイレ用ブースが設置されていた。利尻山もそうだったが、この方法は山も汚さず、人の手も煩わさずよいと思う。 |
やっと雲が切れ青空が見えてきた。 |
アオモリトドマツ、コメツガの灌木帯に木道が続いている。 |
やっと青空が |
下の木道 |
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なだらかな木道辺りは、高山植物が咲き競う。ハヤチネウスユキソウも多い。岩の上には咲き終わったチングルマの穂が、飛ばされそうだ。 |
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だんだん風が強くなり、帽子も脱げ、歩いていてもふらつくほどだ。 |
強風の中、長い梯子を無事通過。 |
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強風の梯子下り |
前方に薬師岳 |
5合目のお金蔵で、風をよけ休んでいる人たちがいた。吹きさらしなので、巨岩くらいしか風をよける場所がない。 |
前方には薬師岳が、森の中に光る小屋は小田越登山口だそうだ。「すぐのようで、あそこまで結構あるんですよ。」とUさん。 |
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やっと風もおさまってきた。標高が下がってきたら暑くなってきた。 |
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ここは1合目が森林限界で、森を抜けると小田越登山口に着いた。 |
蛇紋岩の露岩帯を下る |
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小田越登山口 |
早池峰山は東北の山にしては珍しいそうで、北アルプスのような山容の岩山だった。山頂からの展望は望めなかったが、ハヤチネウスユキソウにも出会えたし、期待を裏切らない登りがいのある山だった。 |
ほとんどが滑りやすい蛇紋岩なので、山歩きを始めた十数年前だったり、天気が悪かったらとても大変で危険な山だった。少し経験も積んだ今だから楽しんで登れたのではないかと思う。 |
帰り道、エーデルワインという工房に寄ったら、この地にあった早池峰山岳博物館の話しを聞いた。故坂倉登喜子さんのエーデルワイスコレクションがあり、私は以前雨で登れなかった早池峰登山の代わりに見た記憶がある。小さな博物館だったが、2010年老朽化のため取り壊してしまったようでとても残念だ。 |
花巻の東和温泉で汗を流し、今晩もお世話になる前沢へ着くと、広い庭にBBQの用意がしてあり、前沢ブランド牛の霜降りステーキの大ご馳走が準備されていた。食べて飲んで大変盛り上ったが、明日の栗駒登山大丈夫でしょうか。 |
早池峰山の花はこちら |