熊野古道4 (小辺路)
-kumanokodo(kohechi)-
 2010/05/13-16
5月16日(日)
高野山を3日前に出発し、今日がいよいよ最終日になってしまった。
計画では7時に出発の予定だったが、今日は行動時間も長いので、余裕を持って早めに出ることにした。
旅館なので、早い朝食はできないとのこと。昨夜作ってもらった、朝食用のお弁当を食べて6時前に出発
果無登山口 渡ってきた柳本橋
   今日は、標高1114mの果無(はてなし)峠を超え、ゴールの熊野本宮大社まで16kmを歩く予定。   
 宿から十津川に沿って進み、赤い柳本橋を渡り、林道を右に行くと果無集落の入口があった。
  果無集落に向け石畳の道を上る    果無集落
    果無集落 
 果無集落へは、林道の左にある、急な石の階段で始まる。
 それにしても、果無(はてなし)とはすごい名前だ。
狭い尾根道の急な石畳を上って行くと、 昔、茶店を営んでいたという民家の庭先に出る。
昔茶店だったという民家の庭先(水場に花一輪、わらじや番傘もかけられ風情がある)  
小さな水田    世界遺産の碑が建つ果無集落  果無峠登山口
 西国三十三ヶ寺観音像    
 ここからの道端には、ほのぼのとしたお顔の観音石仏が置かれている。数は1番ずつ少なくなるので、数えながら登る目安にもなる。
 大正11年に建立されたものだそうだ。
 今日歩く街道は、今までで一番石仏が多かった。
   27番観音  石畳の残る道
       
 20番観音  18番観音  13番観音  2番観音
     
山口茶屋跡
天水田は、かつての水田跡で、この先にある山口茶屋の住人が、雨水だけを頼りに、稲作をしたと言われている。
山口茶屋跡には、防風林とみられる杉の巨木が数本残っている。
天水田 山口茶屋跡
     
地蔵菩薩像   シャクナゲ  急な階段が続く
観音堂
 階段続きの急な道の連続だったが、やっとシャクナゲが満開観音堂に着いた。予定より30分も時間オーバー。
お堂には、 石仏が3体納められている。
豊富な水場や、トイレもあり、広場になっているので、私達も一息入れることにした。
観音堂 観音堂の広場
今回の小辺路歩きで、ここで初めて女性の登山者一人に出会った。挨拶をしたが、顔も見ずに小さく答えただけだった。あまり話したくない人なのかと思い、もうそれ以上話しかけるのはやめた。 
 農家民宿の奥さんの話では、以前にも若い女性が一人で来て泊ったことがあったそうだ。こんな山奥の女性の一人歩きなんて、勇気があるものです。
 山仕事をしていた人が、「チリ~~~ン、チリ~~~ン」と小さな鈴の音が聞こえたと思ったら、若い女性が一人で歩いてきた。怖くなってしまったとか・・・そんな話しも聞いた。
     シャクナゲの道
高野山でも満開のシャクナゲを見てきたが、小辺路の道沿いにはシャクナゲがたくさんある。
今日のルートでも、たくさん見かけた。特に果無峠を過ぎてからは多かったが、今年は外れ年なのか、木が多い割には花が少ないように思えた。 
果無峠   シャクナゲ咲く道  
 観音堂から30分ほど登ると、果無峠に着いたが、展望もないのですぐに下ることにした。    
 急な下りが続き、二十丁石を過ぎたあたりから、展望が開けてきた。眼下に蛇行した熊野川が見える。
 無口な登山者とはずっと、抜きつ抜かれつだったが、一言も話さず終い。
   三十丁石  熊野川
     七色集落の分岐を過ぎたあたりから、標高はぐんぐん下がって、気温も上がってきた。
第5番石仏を過ぎると立派なベンチとテーブルが、数か所設置されていた。せっかくだからと一休みする。 
 傾斜も緩くなり、木の階段道になる。
七色分岐 八木尾バス停
  林道を横断し、民家の庭先を通り抜け、まっすぐ下ると国道168号線の八木尾バス停に到着。 
八木尾からは国道沿いを熊野川に沿って歩く。とても水のきれいな美しい川で、時々、ゆったりとカヌーが進んで行った。 
道の駅「奥熊野ほんぐう」で、久々に冷たいジュースを飲んだ。とても美味しかった。少し先の九鬼より国道に分かれ、林道を上って行く。  
 それにしても、ここまで予定よりだいぶ遅れ気味。4日目で疲れているとはいえ、そんなにペースダウンしているとも思えないが、これでは予定の電車に間に合わないかもしれない。
熊野川沿いのルート     
三軒茶屋関所跡 道標 関所跡より中辺路へ合流
本宮の森、神域へ
三軒茶屋関所跡より中辺路に合流し、緩やかに上って行くと、本宮の森の神域へと入る。 
本宮のすぐ手前にある、祓所王子は、熊野参詣をする前に、禊(みそぎ)や祓いを済ませてから参拝に備えたところだそうだ。
赤いよだれかけの地蔵三体 祓所王子
熊野本宮大社 ゴール!  
いよいよ長かった小辺路の旅も幕を閉じる。
二人とも怪我もなく、元気に歩き通せたことに感謝し、本宮大社で手を合わせた。  
予定より1時間以上早く出たのに、1時間半も遅れて本宮に到着。疲れも出て、休憩も多くは取っていたものの、あとでよく調べてみると、参考にした資料の時間が間違っていた
熊野本宮大社神門 熊野本宮への長い参道
  結局、予定していた列車には乗れなかった。  
本宮大社前から新宮駅までは、バスで1時間以上もかかる。
 新宮から名古屋行き特急は、次まで2時間半も待たなければならない。
 でも、熊野大社でゆっくりお参りもできたし、門前蕎麦も小倉白玉(クマさんはビール)も食べられて、かえってよかったかもしれない。
記念の山旅 
 雨が多いとされるこの地方で、一度も雨にも降られず爽やかな新緑の中を歩けたことは、感謝に堪えない。 
覚悟はして臨んだが、アップダウンが多く、4日間重いザックを背負い、思った以上に大変な旅だった。でも、地元の人たちとの温かい触れ合い、歴史を感じながら、自分の足で72kmを歩き通した充実感、やってよかった。
そしてクマさんにとっては、人生節目の記念になる旅になった。 新宮駅 
数日後、農家民宿の奥さんからが手紙が届いた。出発前に4人で撮った記念写真が同封されていた。