利尻山1719m礼文島①
-rishirisan/rebunto-
 2015/07/22~26  
 15年前に行った利尻・礼文島を再訪することになった。私にとっては登山を始めるきっかけになった思い出の山だ。
今回はクマさんの希望で行くことになったが、私達の経験値は少し上がったものの、その分歳をとっているので果たして登れるのか、心配でもあるが楽しみでもある。 
 7月22日(水)曇り
千歳空港に着くと、利尻空港が悪天候のため飛行機は運行調整中だという。今月初めに調布空港から神津島へスケッチに行った時にも雨で、降りられなければ引き返すとの条件付きでやっと飛び、なんとか着陸で来たばかりだ。  
 またかとやきもきしたが、今回も降りられなければ稚内空港か千歳に引き返すとの条件付きで飛び発った。急いで最悪の場合の予定も考えた。
 下界は厚い雲に覆われ全く見えない中、雲を突き抜け無事利尻空港に降り立つことが出来た。
地元では利尻山の手前のポン山が見えるか見えないかで、飛行機が降りるかどうかの目安になるのだという。「今日は見えなかったのによく下りられましたね。」と宿の人に言われた。有視界飛行なので、パイロットの腕によるのかもしれない。 
飛行機は早いし、荷物も羽田で預ければ利尻まで運んでくれるので便利だが、天候には左右される。 
宿は、TVの山番組でもおなじみの渡部さんがオーナーのレラモシリ。 
食事も美味しくきれいな宿はすぐに満室になってしまい、なかなか予約が取れず早目の予約が必要だ。
7月23日(木)曇りのち晴れ
        16:30   レラモシリ 4:00 
16:10  利尻北麓野営場登山口 4:05~15
15:55  ポン山分岐 4:30
 15:30  4合目 5:00~05 
14:55  5合目 5:45~50 
14:30~35  6合目(第一見晴台) 6:20~30
14:00  7合目 6:55~7:00 
13:30 第二見晴台  7:40~50 
13:10~15  長官山(8合目) 8:10
12:45~55  避難小屋 8:30~45 
12:15~25  9合目 9:25~40 
 11:45  沓形分岐 10:15~20
 11:25  利尻山(北峰)  10:45 ↓
利尻山登山
朝3時起床。4時に宿の車で登山口へ送ってもらう。(送迎付なのがありがたい)同宿からは8人が登る。
北の夜明けは早く、もう明るい。
曇り空ながら雨の心配はなさそうだ。準備をし4時15分に出発する。
利尻北麓野営場登山口 甘露泉水
甘露泉まではきれいに整備された道だ。利尻山へ登らなくても、ポン山へは手軽なハイキングができる。
甘露泉を過ぎると水場はないが、利尻の水道水は手が切れそうに冷たく美味しいので、宿で十分補給してきた。今日は長丁場なので、2~3Lの水が必要になる。
薄暗い針葉樹林帯が続く。道はまだ緩やかだ。 
ポン山分岐 トドマツの針葉樹林帯
傾斜が増し、ダケカンバ帯に入る。林床にはマイズルソウが大群落をつくる。もう実になっていた。
花は少なく、アザミやシロバナニガナ位だと思っていたら、 エゾイチヤクソウの白い花が見られた。 
ダケカンバ帯 マイズルソウ(実)
5合目を過ぎると傾斜は増し、低いダケカンバの中をひたすら登る。 
クマさんの歩が遅くなる。まだまだ山頂は遠いのに心配だ。
頭上が少し明るくなり、向こうの稜線が見えた。
5合目を過ぎ傾斜が増す やっと稜線が見えた
白い虹とブロッケン現象
第一見晴台は、最初の展望地だが、雲海に覆われ何も見えない。 
休んでいたら突然、雲海の上に白い虹がかかった。初めて見た。
白い虹は、水滴の大きさが光の波長とほぼ同程度になった時だけできる、かなりレアな現象らしい。
6合目(第一見晴台) 白い虹
そして崖際にくると、なんと!ブロッケン現象まで見られた。 
眼下に虹色の輪ができ、私の影がその中に入っている。まるで五光が射したように見える。 
何という偶然。これは幸先よいかもしれない。 
ブロッケン現象(私のカメラではこの程度) 6合目より上を望む
トイレブース
15年前も簡易トイレを持って登った。その時はブースはなく、物陰に隠れて用を足したものだ。 
 今回は、6.5合目、8合目、9合目の3ヶ所にトイレブースが出来ていた。安心して登れる。
雲海 6.5合目トイレブース
雲の上に出たので、すっかりよい天気になった。
7合目の標識に胸突き八丁とある。急な岩場が果てしなく続く。 
クマさんのスピードは前にも増し遅く、先に行っていいというが、あまり離れるわけにはいかない。
7合目(胸突き八丁) 岩場の急登
イワオトギリ ゴゼンタチバナ ハイマツ
合目ごとに待ち、立ち休憩で水、食料を補給する。相当疲れているのか話しかけても返事もしない。 ただ黙々と登る。
この上が長官山かと思ったら、第二見晴台だった。ここでやっと長官山が見えてきた。
第二見晴台 長官山へ
長官山(8合目)
登山口から4時間。長官山に到着。ここで初めて利尻山が見えた。雪渓が残る美しい姿だ。 
北側の斜面は赤茶け、えぐられている。あそこを登っていく。これから先が難所だ。 
   利尻山(長官山より)
  長官山から避難小屋までの20分はやっとほっとする稜線歩き。利尻の頂を眺めながら、たくさんの花々を楽しむ。   
利尻の避難小屋は緊急用のため、普通に泊まることはできない。登ったら日帰りで降りなくてはならない。 
 利尻山避難小屋    ザレた斜面
    9合目で休むとなかなか腰を上げないクマさんを促し、ここからが正念場の道標に従い砂礫、岩礫で歩きにくい道を一歩一歩登る。
崩壊が進みそのうち登れなくなるのではないかと言われているが、 丸太などでだいぶ整備されていた。 
 9合目より ここからが正念場   
     
長官山の稜線  チシマフウロ  ミヤマアズマギク 
頂上直下は、このコースで一番きつい所だが、花は種類も数も一番多い。花の多さに励まされながら登る。     
 沓形コースは今は崩落が激しく、通行が禁止されている。
  えぐられた道  沓形コース分岐
     
 頑張ろう~もう少しよ~   丸太階段整備中   3mスリット 
  花の登山道   
雪渓が残る斜面は、キンポウゲボタンキンバイか、一面黄色だ。
最後は3mスリットと言われ、深くえぐられた道になる。歩いたところに雨が降ると、どんどん深くなってしまうそうだ。  
 雪渓とキンポウゲ エゾツツジ 
     
 コケモモ  ミヤマコウゾリナ ハクサンチドリ 
  ガレ場にリシリヒナゲシが咲いているそうだが、見つけることはできなかった。今では数も激減しているそうだ。   
やっとやっと山頂が見えた!あと少し。 
 やっと見えた利尻山頂とロウソク岩   イブキトラノオ 
     利尻山登頂!
10時45分利尻山登頂。亀足隊の二人は6時間半もかかり何とか山頂に立つことが出来た。 
この先、年齢的にも体力的にも無理になりそうだ。行くなら今でしょう!と決めた利尻山登山だった。
 利尻山1719m 雲海で海と空の境がわからない。
   雲海の上に立つ 素晴らしい天気になった。 
     
 利尻山南峰(通行禁止)  イワギキョウ  シコタンソウ
     
 バイケイソウ リシリオウギ   エゾヒメクワガタ
   以前登ったのは6月だったが、山頂付近は7月の方が花が多かった。利尻山頂でゆっくり花畑とお弁当を楽しみ、下山。長い下りだし、最初は急なガレ場が続くので、心して行こう。 
9合目に向かうザレた急坂を下っていると、携帯が鳴った。安全なところで確認すると、娘からの思いもよらない電話だった。 
最後に名水甘露泉を十分補給し、冷たい水で顔をザブザブと洗った。  
 さあ下山  重い足を引きずりながら登山口で迎えの車を待つ。
下りは4時間45分かかり、体力の限界の12時間の行程になった。クマさんは腰の故障を抱えながらも、2人とも無事下山でき本当に良かった。    
偶然にも初めての白い虹ブロッケン、多くの高山植物も見られ、帰りにはエゾシマリスにも遭遇できた。とてもきつかったが、困難な山ほどよい思い出になる。 
晴天に恵まれ、手首が腕輪のように真っ赤に焼けてしまった。 
長官山より最後の利尻山を望む(北側は雲が湧く) 
 (利尻山・礼文島②へ)  利尻・礼文の花