白馬岳A2932m
-shiroumadake-
 8月1日(金)晴れ一時霧    

4時に起き、日の出を見に行くことにした。私は静かな個室でぐっすり眠ったら、元気が出てきた。そうしたら、今度はKuraが頭が痛く吐き気がするという。Kuraを部屋に残し、小屋から10分ほど登ったところにある丸山へ行くことにした。薄手のダウンの上に雨具を着てちょうど良い。

今日の日の出は4時33分だが、それより少し遅く50分頃に見えた。最初ぽつんとオレンジのボールが見え、それがだんだん濃く大きくなり、まるでアドバルーンが上がっていくような日の出だった。
 明るくなると昨日の雲海はすっかり消え、立山など北アルプスの峰々が姿を現す。  日の出(丸山より)
 もう杓子から白馬鑓へと歩く登山者が米粒のように見える 。
   Kuraはせっかくの朝食が食べられない。彼女はどうも高山に弱い体質らしく、小屋にある昭和医大の診療所で診察して貰うことにした。高山で眠ってしまうと、どうしても酸素を取り込む量が減ってしまうので症状がでるらしい。薬をもらい処置してもらったら少し回復したので、医師の注意通り、ゆっくり歩くことにした。
 高山病は下山するしか方法はないらしいので、手っ取り早く雪渓を下るのがいいのではないかと思ったが、本人の希望で予定通り山頂に行ってから栂池へのルートを歩くことにした。
 頂上山荘が小さく  
いつも一番健脚なのに、Toshiさんに付き添われゆっくりゆっくり時間をかけて登った。そのおかげで私たちもゆっくり展望を楽しみながら、お花の写真も思う存分撮りながら登れた。タカネツメクサムカゴトラノオハクサンシャジンヒメイワカガミミヤマオダマキアズマギクイブキジャコウソウミヤマダイコンソウクモマミミナズナタカネヤマズハハコ・・・・。   
 1500人収容できるという白馬山荘は世界最大規模の山小屋だそうで、巨大なものだった。
 診療所もそうだが、小屋で働く若い人たちもとても感じがよくきびきびとしていた。
 こういうたくさんの人たちの支えがあってこそ、安全に楽しい山歩きができる。  ミヤマオダマキ
     白馬岳登頂8時10分。あいにくガスって展望はなかったが、Kura達の到着を待って1時間以上もとどまっていたので、すっかり晴れて360度の大展望になった。
 鹿島鑓は手が届きそうに、日本海に続く雪倉岳朝日岳が見える。
 白馬岳登頂  白馬岳山頂(後方は鹿島鑓ヶ岳)  
 山頂は東側が切り立った崖になり、覗き込むと吸い込まれそうだ。そんなところにも花はたくさん咲いている。  
 ここから三国境(サンゴクザカイ)までは急な岩場が続く。

ペンキ印に従って急降下が続く。少し傾斜がゆるくなり、やせた馬の背のザレ場には期待していたコマクサの群生地があった。こんな土もないようなところに何故咲くのか不思議だが、斜面一面コマクサの大群落だ。期待以上でうれしくなる。

     これが鹿島槍よ
   三国境は雪倉岳、朝日岳への分岐になる。一休みして、ここからはアップダウンを繰り返しながら、まさに雲上漫歩が楽しめる。
 山のてっぺんを歩くのは気持ちがいいものだ。
 祠と剣が祭ってある小蓮華山に到着。
 少し標高が少し下がってきたからかKuraの気分も良くなってきたようで、途中でどら焼きを食べたというので一安心。
 これから下る稜線    
 昨日も大勢のグリーンパトロールの人たちに出会った。要所要所には必ず数人の人が立っていて、質問に答えたり、注意したりしていた。3000m近い山なのに、1日に2000人からの人が登る白馬の夏は、子供もいれば高齢者もいる。初心者の私たちもとても心強い。  

そういえば、小屋には郵便局があり、以前テレビで見たが、郵便配達のおじさんが長靴で毎日集配に登っているといっていた。

 左に雪倉岳の雄姿が見えてきた。
     コマクサ
   ハイマツの中を進むと、薄ピンクのハクサンシャクナゲが可憐だ。アキノキリンソウトウヤクリンドウタカネナデシコも見られた。展望が開け、青く澄んだ美しい白馬大池が見えてきた。緑に囲まれた大池は神秘的な雰囲気が漂う。
ここより雷鳥坂から窪地を抜けて標高を下げていくと、まだ雪が解けたばかりのような斜面にチングルマの大群落があった。 
 白馬大池  ハクサンコザクラやイワイチョウも多い。
 白馬大池山荘へ着くと、急におなかが空いてきたので、山荘でカップラーメンを買った。おいしくてスープまで全部飲んでしまった。まもなくKura達も到着し「おなかがすいた〜」とすっかり元気な声になった。白馬大池は、標高2380mの高山湖だ。高山病は下山すると治るというが、本当だった。  
 ここで蓮華温泉への道を分け、私たちは池の左側を回り込み、雪渓をトラバースして、大きな岩をペンキ印を頼りに登る。
    チングルマ大群落 
   歩きにくいでこぼこ岩を登りきると、大きなケルンが目印の乗鞍岳に着く。広い頂上は目印がないため、雨や霧で視界が悪い時の目印にされるそうだ。
 クマさんが「花はほとんど見られたけど、雷鳥だけ見られなかったね」と言っていたら、なんとそこには雷鳥のカップルがいた。ガスっていたので岩と同じような模様でわかりにくかったが、最後に見られラッキーだった。
急斜面に出るとロープが取り付けられてあった。岩場を過ぎると雪渓を下る。ガスってきて視界が悪くなった。足元に注意しながら通過。 
 乗鞍岳ケルン  
ダケカンバやウラジロナナカマドの白い花が盛りの林を下る。これは紅葉がきっと見事に違いない。でも、こちらからの登りも相当きつそうだ。このルートはロープウェイを使うので甘く見ていたが、思った以上に大変だった。   
やっと木道になり天狗原(テングッパラ)に着いた。ワタスゲが風に揺れていた。予定以上に時間がかかってしまったので、栂池ロープウェイの最終時間が気になった。ここから栂池自然園まではスピードを上げ、今まで抜かれてばかりいたが、やっと抜き返し、最終の1本前(5時発)に間に合った。 
     白馬乗鞍岳雪渓
 今回の山行で私は夜行で行ったためかばててしまい、Kuraは高山病になってしまったり、今後の山歩きで考えなければいけない課題だ。一番元気だったのはクマさんで、少し体重が減って身が軽くなったからか、歩き方も速かった。最後は体力勝負かもしれない。