ファウルホルン(2686m)・ベルナーオーバーランドパノラマハイク
-faulhorn(grindelwald)-
2005/07/13(水)
 【ベルナーオーバーランドの大パノラマ】  
 歩程:8時間 いよいよトレッキング最終日。今日も朝からよい天気。ホテルからもアイガーがよく見えた。
 ロープウェイでシュティックフィールドからフィルスト(2168m)まで登り、ファウルホルン登頂を目指す、今回一番のロングコース。今日のガイドはこちらに来て9年というベテランの上西さん。 
     フィルスト
   昨日歩いたアイガーなど、ベルナーオーバーランドの大パノラマが満喫できる。アイガーをバックにキンポウゲが咲き乱れ、黄色のじゅうたんが続く。
 添乗員さんが「”ヨーロッパアルプス三大名峰ハイキング”だが、「去年来た時は2座やっと見られただけだったが、今回は全部見ることができました。皆さんついていますね。」と言っていた。天気次第で仕方ないが、スイスまで来て目的の山が見られないのは心残りだ。 
 アイガーとキンポウゲ    
  静かなバッハアルプゼーの向こうにはユングフラウ・リスカムはじめ、真っ白な山々が望める。資材を運ぶヘリコプターが来た。
 湖を回りこんで、ファウルホルン山頂までこれからは急登が続く。この辺りは湿地帯で、ワタスゲやリュウキンカが風に揺れる。
 山頂まで避難小屋が2ヶ所ある。急登が続き、メンバーの足並みが乱れ始めた。  
 バッハアルプゼー  標高が上がりはじめたら、雲がでてきた。
丸いなだらかな山頂が見えてきた。でも最後はやっぱり急登で、登りきるとヒュッテが建つファウルホルン登頂11時25分。スイスに来て、やっと一つの山を制覇したことになる。   
 今まで毎日楽をして大パノラマを手に入れ、それはそれでよかったが、自分の足で山頂を極めるのはやはり気持ちのいい満足感がある。ガイドさんが、ヨーロッパの人たちはハイキングでも上りは歩いて登り、下りに乗り物を使う人が多いが、日本人は逆ですね。と言っていた。 
 日は射しているが風が冷たい。小屋の前のベンチでランチになった。今日はロングコースだからか、ハムとチーズのサンドウィッチの量も多い。
 オレンジジュース、水、りんご、スィーツと盛りだくさんだ。  ファウルホルン(2686m)
 

山頂への分岐まで下り、しばらくは尾根を歩く。途中何度か雪渓を歩く。眼下にエメラルドグリーンのブリエツゼー、手前には深い青色の沼、そして手前は真っ白な雪渓と3色のコントラストの美しさに目を奪われる。

 
 山で出会う人に、シャモニーでは『ボンジュール』だったが、スイスに来てからは『ハロー』と声をかける。時々『こ・ん・に・ち・わ』と返って来て思わず微笑む。
 ブリエツゼーと沼と雪渓  カウベルが聞こえた。ウェーバーヒュッテは近い。  雪渓を渡る
   1/2SFチップを払い、トイレを借りる。ヒュッテの牧場で取れた牛乳を頼んだら売切れだった。お腹がいっぱいで頼めなかったが、特性の”グラッシュスープ”も美味しいそうだ。  
 ここからは岩山の後ろに回りこみ、牧草地岩の殿堂のような景色が続く。火山はないので、海の隆起によって出来た岩だが、自然の造形美を楽しめる。のんびりと草を食む牛や羊たち、お花畑の中を緩やかにアップダウンを繰り返す。
 ウェーバーヒュッテ(2344m)    岩の殿堂
 メンバーの一人に靴底がはがれそうになってしまった人がいた。時々応急措置にテーピングを巻きながら、なんとか歩き通せた。  
 遠くに目的地、シーニゲプラッテの町が見えてきた。
 午後になり高い山々はすっかり雲に覆われてしまっが、日に焼けそうに良い天気だ。
 再びカウベルの音が大きくなってきた。眼下には牛の群れ。親牛には巨大カウベルを付け、遠くに行けないようにしているとか。こちらでは山を3つに分け、下から順番に草を食べさせているそうだ。今は中腹を食べているところだった。

道の両側はワスレナグサやマツムシソウ、シオガマ、ヤグルマギクなどどこまでも短い夏を惜しむかのように咲き誇っている。

 見えているのに町はなかなか近づかない。  ワスレナグサの道
   16:26発の電車に間に合わせるため、ガイドさんが最後はだいぶピッチを上げ、なんとか目的の電車に間に合った。
 乗り合わせた車両に、スイスの中年女性のハイキンググループがいた。たまたま私と同じメーカーで同色のザックを持った人がいたので、ドイツ語はわからないけれど、ジェスチャーを交え「同じですね」と言ったら「あなたの方が使いやすそうね」と言っていると、ガイドさんが通訳してくれた。こういうとき言葉が通じたら、もっとフレンドリーになれるのに残念だった。
 途中ウィダーウィル駅で乗り換え、グリンデルワルト到着は今日も6時だった。
 シーニゲプラッテ駅    

最後の夜は運良く、夏の間毎週水曜日にある”ストリートフェスト”が行われる。メインストリートを歩行者天国にして、民族衣装を身につけた町の人たちが、歌やダンスを披露する。小さな町で娯楽もないので長い夏の夜を精一杯楽しんでいるようだ。私たちも夕食後通りにでて、ワインを飲みながら楽しんだ。町の人たちの声は、12時近くまで続いていた。 

 

雲ひとつない空に、アイガーが最後の雄姿を見せる。バスでベルン経由ででチューリッヒに向かう。

7月14日帰国。11時30分発のスイスエアーランズで帰国の途に着いた。  ストリートフェスト