文学散歩⑨
 2014/09/13(土
 第9回文学散歩は本郷三丁目(かねやす前)に集合し、初めて多摩を離れ、文京区本郷を訪ねる。この街には今も多くの文人の足跡が残り、今回は森鴎外夏目漱石樋口一葉にちなんだ見どころを巡る。
  『本郷もかねやすまでは江戸のうち』 
かねやすは400年も続く老舗で、今日は休業だったが現在も洋品店を営んでいる。歯磨き粉販売で財をなした 
 大岡越前は江戸の大火で復興する際、ここを境に南側を耐火のために土蔵造りや瓦屋根、塗屋にすることを命じた。一方で北側は従来どおりの板や茅ぶき造りの町家が並んだため、「本郷もかねやすまでは江戸の内」といわれた。
夏目漱石「三四郎」ほか多くの文芸作品に登場する。 
森鴎外 
森鴎外の「雁」の舞台となった無縁坂を下り、弥生美術館の前を通り、弥生門から東大へ。 
さだまさしの「無縁坂」はこの坂を題材にしたそうだ。(私は長崎が舞台だと思っていた。)
 無縁坂  講安寺(旧無縁寺)  弥生美術館(竹久夢二館併設)
弥生美術館は、今TVの朝ドラで人気の「花子とアンの世界展」開催中で賑わっていた。竹久夢二館を併設している。 
夏目漱石     
三四郎池は、漱石の「三四郎」以来親しまれている。 
今デング熱が流行り、蚊に注意しながら池の周りを歩く。
安田講堂は改修中だった。
   三四郎池 赤門 
東大のシンボルにもなっている赤門は、加賀藩13代前田斉泰が将軍家斉の娘溶姫(やすひめ)を正室に迎えるときに建立したものだそうだ。 
    樋口一葉 
「ゆく雲」に寺(法真寺)の様子が美しく描かれている。一葉が幼少期を過ごした家は、この寺の東隣にあり、「桜木の宿」と呼んで懐かしんでいる。 
一葉の筆名は、人生を漂う葦舟のイメージと重ね合わせ、葦の葉から付いたと考えられる。 
 法真寺 一葉の案内板   
  老舗扇屋(和菓子)の前を通り、菊坂を下り、登り返した所にかつて菊富士ホテルがあった。   
菊富士ホテルは、大正3年に開業した高級下宿。名だたる多くの文人や政治家が住んでいたそうだ。外国人の名もあった。 
高台にあったので、当時は富士山が見られた。 
 本郷菊富士ホテル跡   本郷近隣に住んだ人々 
宮沢健二の旧居跡もあった。それほど長くは住んでいなかったようだが、「注文の多い料理店」「かくればやしの夜」「どんぐり山猫」の作品はここで創作されたそうだ。 
狭い路地裏を歩くと、一葉の旧居跡や一葉が使っていた井戸が残されていた。     
菊水湯(明治中期創業、井戸水利用)の昭和の香りがする銭湯の前を通り、鐙坂(あぶみざか)を登る。 
一葉の井戸 旧伊勢谷質店 
坂の途中には金田一京助・春彦の旧居跡もあり、その先には苦しい家計のやりくりに一葉が通った旧伊勢谷質店があった。土蔵は往時のまま残されている。 
文京シビックセンター
近くに文京区役所ビル、1999年に建設された文京シビックセンターがある。25階の展望ラウンジは眺望にすぐれ見る価値があるというので、行ってみることにした。
今日はよい天気で、大パノラマが見られた。小石川植物園、スカイツリーや東大、歩いてきた街並みも一望のもと。  
空気が住んでいるときは富士山や筑波山まで見られるそうだ。 
本郷辺りには、他にも多くの文豪ゆかりの地が残されている。
大通りからではわからなかったが、少し路地を入るとまだまだ昔の建物が残され、人がやっと通れるような細い路地も迷路のようにある。 
今日は先生について廻ったので、もう一度行くとなると自信はないが、またゆっくり歩いてみたい。それに扇屋の麩まんじゅうが心残り。
今回の参加者は16名。次回は12月、羽村の予定。