雲取山2017m
 3月15日(金)小雨のち晴れ
 原生林とカモシカ
 山小屋でこんなにぐっすり寝たのは初めてというくらい、夕べは静かで良く眠れた。なにしろ泊り客は私たち二人だけなのだから、当たり前かもしれないが。

目覚めたらもう5時過ぎだった。空は暗く、今にも雨が降り出しそうな天気だ。ちっとも寒くない。

 ここのところ、零下にはならないらしい。
 朝食が終わる頃、コーヒー豆を挽く音が聞こえ、いい香りがしてきた。  原生林コース
 『コーヒー、飲んでいきませんか?』の一言に、出発時間をすぐに遅らせ、美味しいコーヒーをいただくことにした。
   小屋のお兄さんは、なかなかのコーヒー通らしく、ひとしきりコーヒー談義。
 小屋を出る頃になると、予想通り細かい雨が降り出してきた。
 今日は山頂での展望は望めないので、巻き道の原生林のコースを行くことにした。
 このコースはこんな天気の日はなかなか幻想的で、素敵だそうだ。
 雪の原生林    
 『数日前に何人か歩いているので、踏み跡も付いているから迷うことはないでしょう。』と言われた。
 小屋の前の階段を上がると、山頂へ登る道と、原生林を行く道とに分かれる。
 鬱蒼とした森に足を踏み入れると、太い幹のコメツガ、シラビソ、ブナなどが深山の趣をかもしだす。
 明るい南側からのコースとは対照的にに、静かな雨に煙り、苔むした深い森は神秘的でさえある。雲取山のもう一つの顔を発見
 踏み跡を頼りに進むが、時々ズボッと膝くらいまで入ってしまう。北斜面なのでまだ50センチくらいは積もっている
 点々とカモシカの足跡が続いている。カモシカもやはり歩きやすい登山道を歩くのだ。そうしたら、なんと目の前をカモシカの群れ(5頭)が駆け下りていった
 カメラを出す暇もなく、思いがけない出会いに、ドキドキしてしまった。奥多摩でカモシカを見たのは初めてだ。
 石尾根に出る頃には雨はほとんどやみ、雲が少しずつ上がってきた。周りの山々が少しずつ姿を現し、山のひだまでもが一つ一つはっきりわかる。 柔らかな光の中、雲取周辺の山々はもう枯葉色から、薄紫に変わっている。 
 空気が澄み切って、すべてが洗われたようにきれいだ。3000m級の北アルプスの尾根を歩いているような気がする。 雨がやんだら、日が差してきてどんどん暑くなってきた。重装備の私達は、途中で雨具やスパッツを脱ぎ捨てた。今日の最高気温は20度だという。
   雨上がり  
   ブナ坂から下ってきた頃、今日は無理と思っていたのに、また富士山が顔を出してくれた。
 なんとラッキーな。これもてるてるぼうず効果か、普段の行いがいいからに違いないと勝手に思う。もうすっかり青空になってしまった。
 堂所あたりのアセビが、行くときは確かつぼみだったのに、日当たりの良い枝先はもう開いている。
 すっかり晴れて無事下山  サンシュの黄色い花も咲いていた。
 11時10分鴨沢到着。
 遠くから出てきたゆうちゃんのためにも、雨も大したことはなく展望もよく、また昨日と今日で雲取山の違う姿も見られ、楽しい山行になった。
 予定より早い下山で、美味しいおそばをいただき、『小菅の湯』でゆくっりと汗を流した。