利尻山・礼文島
 6月16日(金)晴れ
利尻山登山   3時半起床。利尻は日の出が3時40分なのでもう明るい。  
 4時にロビーに集合し、朝食のおにぎりを食べて出発。こんなに早く起きて食事をしたのも初めての経験。
バスで鴛泊(おしどまり)コースの出発点利尻北麓野営場へと向かう。他にも沓形(くつがた)鬼脇とコースはあるが、現在鬼脇コースは崩壊が激しく登山禁止になっている。 
     ペシ岬(6合目より)
   今回は初めて挑戦する長丁場なので、クラとはどちらかが途中で歩けなくなっても、往復同じコースだし、もう2度と来られないかもしれないところなので、気兼ねせず山頂を目指そうと約束した。
 入念なストレッチのあと、2班に別れ5時に出発。私たちは1班で初心者班だ。2班は健脚そうな人が多そうだ。それぞれガイドさんが一人ずつ付き添乗員が最後に付いた。天気は快晴。雪があり寒いかもしれないというので、厚手のシャツを着てしまったが暑そうだ。
 予想よりスローペースで、これなら私でもついて行かれそうで少し緊張がとけた。まもなく名水100選の甘露泉に着いたが、帰りに寄るからと通り過ぎる。
 森林限界  北国らしい針葉樹林帯を過ぎ、5合目辺りからマイズルソウの群生、初めて見るザゼンソウも咲いていた。
ダケカンバやミヤマハンノキの林に変わり、ジグザグの急登を繰り返しながら登る。雪渓も見られる。登るにつれ色とりどりの花が見られるようになり、きつい登りだが励まされる。 
大きく清楚なオオバナエンレイソウ、キウツギ、イワベンケイもたくさん見られた。 
 6合目まで登ると、眼下にはペシ岬ポン山小ポン山姫沼が素晴らしい眺めだった。。休憩を取っていると2班が追い越していった。
 7合目を過ぎると岩尾根が現れ、森林限界になった。
   ようやく8合目長官山まで来たら、やっと利尻の雄姿が見え大感激。  
 周りには雪渓がたくさんある。こうして見ると頂上は高く、まだまだ先だった。
 4時間あまり歩いて、やっと6割くらい登ったことになる。少し先に避難小屋があり、20分ほど中休止。
 長官山(8合目)    エゾエンゴサク群生
各自持ってきた簡易トイレで用を足す。利尻山は町ぐるみで山の自然を守ろうと、簡易トイレの普及に力を入れている。こんな素晴らしい自然は皆で守らなくてはいけない。 
 ここで女性2名が棄権。避難小屋でみなの帰りを待つことになった。小屋にいらない荷物をデポして行く。
 この先に素晴らしいハクサンイチゲの大群落があった。
 9合目。ここからが正念場の看板あり。ここまでもただひたすら登ったが、見たこともない花の多さと、海を見ながらの登りは全然辛さを感じさせなかった。雪渓を渡るとエゾエンゴサクがブルーのじゅうたんのようだ。ここからは夢のようなお花畑が続く。
   赤茶色に見えるすさまじい崩落、岩峰群、あたりの景色が一変してきた。この先道は深くえぐれ、ガレ場の急坂が続く。1歩進んで、半歩下がるような恐ろしく滑りやすい急坂。岩を落とさないようにストックを使い、ロープにつかまり一歩一歩進む。『女性は強いね〜』と、ここで男性2〜3人が遅れ出した。
 11時35分利尻山登頂!すばらしい景色と、頑張れた自分に胸がいっぱいになった。
 利尻山は島の中央にあるためというより、海に浮かぶ島そのものなのだ。真っ青な海、下に浮かぶきんとん雲のような雲、谷に残る大雪渓、苦労して手に入れた景色の素晴らしさに目頭が熱くなる。南峰は崩落が激しいため、神社のある北峰が頂上になっている。
 沓形分岐より礼文島を望む(9.5合目)  1時間ランチタイムと景色を楽しむ。
 9合目までの下りは登りより更に怖い。例年6月末から7月の初めの週末は利尻山は一番込む時期で、この上り下りで大渋滞になるそうだ。8合目の長官山から最後の頂を見る。改めて感動する。  
 クラが気分が悪くなり、7合目で30分休憩をとってもらった。休んだら少し顔色がよくなった。皆も相当疲れてきた。下りがきつい。体力は上りに4割、下りに6割残しておかなくてはいけないといわれたが、この長丁場で納得した。
 やっとの思いで甘露泉到着。顔を洗い、冷たくおいしい水に生き返る。体中がオーバーヒートしそうだったので、皆何杯も何杯も飲んだ。甘くて最高においしい。
     利尻山頂より
 5時35分、12時間あまりの山行を終えて登山口の野営場到着。1時間ほど前に着いた2班が握手で迎えてくれた。やれば出来るものだ。自分でもこんなに歩けるとは思ってもいなかったし、いつも登りはとても苦しいのに、ゆっくり登れば楽に歩ける
 それに素晴らしい景色と、数々のお花には辛さも忘れさせてくれる。本当に充実した山行だった。
 そして、明日は花の浮島礼文島へ向かう。
 photo by kura
エゾエンゴサク エゾキンポウゲ ハクサンイチゲ イワベンケイ オオバナエンレイソウ
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