昨夜は個室は叶わず、9人部屋に8人。松本の元気な中高年女性4人グループと一緒だった。それでも山小屋ではまだいい方なのかもしれない。 |
私は疲れが残っているのか、胃の具合があまりよくない。朝食もお味噌汁くらいしか食べられなかった。山小屋で残すのは罪悪感があるが、無理して食べて気持ちでも悪くなったらそれも困る。 |
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命のりんご |
小屋でリンゴ(¥350)を売っていた。リンゴなら食べられそうと、4つに切ってもらいザックに入れる。 |
今日は行程も長いので、5時出発。 |
登山口には、Sさん待望のキヌガサソウが瑞々しい姿を見せてくれた。 |
黒部五郎小舎からの分岐 |
キヌガサソウ |
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岩がちな急登を登って行くと、五郎のカールが見えてきた。赤い屋根の小屋も小さく見える。「ゴローさ~ん、いつかまた来るからね」 |
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本当に再訪したい。ゆっくりと来て、カールの中でスケッチでも出来たら最高だ。 |
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早朝の黒部五郎岳と小屋 |
笠ヶ岳を従え登る |
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稜線へ出た。雲は多いものの素晴らしい天気と絶景。 |
左へ行くと小高い展望台だが、私達はパスして右へ進む。休憩中にリンゴ1/4を食べた。ジューシーで美味しかった。 |
展望地と分岐 |
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アップダウンをくり返しながら、三俣蓮華の分岐点黒部乗越へ着いた。 |
ここから私達は巻道を行く。 |
雪渓はだいぶ残るが、今回はアイゼンは必要ないとのことだった。マーキングしてある雪渓の階段を下る。 |
黒部乗越へ |
マーキングしてある雪渓の階段 |
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中央が雲ノ平、右から鷲羽岳・ワリモ岳・水晶岳・薬師岳 |
ガレ場や雪渓を越えて行くと、向かいの谷の上に平に開けた所がある。 |
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目を凝らして見ると、小屋らしき建物が見える。「あそこが雲ノ平よ」とSさん。 |
とうとう憧れの雲ノ平が、見えるところまでやって来た。 |
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ガレ場を越える |
鷲羽岳展望 |
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鷲羽岳がすぐそこに見えてきた。すごい岩山だ。登れるかな?リンゴしか食べられず、体調いまいちの私は心配になって来た。Sさんも朝からあまり元気がない。 |
同じ方向に向かう男性が、「私は以前鷲羽は登ったので、今日は黒部源流から雲ノ平に行きます。」と言っていた。私もそうしようかな?くじけそうになる気持ちを押しやり、「登る!」と宣言する。 |
黒部乗越と黒部五郎岳を振り返って |
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再び雪渓を渡ると、三俣山荘は近い。 |
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小屋でケーキセットでティータイムのつもりが、予定をオーバーしてしまいトイレ休憩だけになった。 |
目の前は槍ヶ岳から穂高連峰、後ろには鷲羽岳から水晶岳が控え、大展望の小屋だ。 |
雪渓を渡り、三俣山荘へ |
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槍を眺めくつろぐTさん |
以前「サマーレスキュー天空の診療所」というドラマで、この山小屋が使われたらしい。 |
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三俣山荘 後は鷲羽岳、槍・穂高の展望台 |
鷲羽岳目指し歩きだす。 |
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Jさんが、「昨日あの大変な五郎に登れたんだもの。それに比べたら楽よ。」と励ましてくれる。 |
傾斜はだんだんきつくなり、段差も大きくなる。きつい・・・ |
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鷲羽岳へ |
山頂はまだ見えない |
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途中で、下って来た団体のガイドさんが、「昨日は雲ノ平泊まりだったのですが、二人で布団一枚でした。今日は土曜日だからもっと混むでしょう」と言っていた。 |
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それでなくても眠れないのに、どうしよう? |
祖父岳と雲ノ平 |
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鷲羽池と槍ヶ岳 |
山頂まで行ってお昼が食べられなかったら、やめようか?無理して行って具合が悪くなったら皆に迷惑をかけてしまう。せっかく楽しい山行が、台無しになる。山頂に着くまで、心が揺れ動く。 |
幻の雲ノ平 |
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鷲羽岳登頂10時35分。体調不良の中よく頑張れたと思う。気力だけだった。 |
決心して、私はここでやめることを皆に伝えることにした。 |
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鷲羽岳(2924m) |
「私は、一人でも三俣山荘へ下れるし、皆が来るまで休んでいれば元気も出ると思う。それに何かあれば、診療所もあったし、見てもらうことが出来るから安心。」 そしたらSさんも「私は以前雲ノ平は行ったことがあるし、一緒に下る。」と言ってくれた。 |
話し合いの結果、二人づつに分かれて行動することにした。明日は雲ノ平から戻る人を待っているより、ゆっくり行動し、双六山荘で落ち合おう。ということに一応決まった。が・・・ |
日焼けした若者が反対方向から登って来た。「水晶まで行こうとしたが、あの黒い雲が気になり、ワリモ岳までで引き返してきた。」という。 |
見上げると、まっ黒な雲が湧きあがっていた。そうこうしているうちに雨粒が落ちてきた。 |
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二人も「雲ノ平はやめよう。早く下りよう。」ということになり、急きょ全員雲ノ平は取りやめた。 |
Jさんが「小屋で変更の手続きをしているからゆっくり来て。」と先に下る。幸い雨はまだ大丈夫そうだ。 |
三俣山荘へ下る |
雪渓とミヤマキンバイ |
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「Jさんの歩きっぷりを見ていると、私達の仲間に入れておくのは惜しい。大きな山岳会でも入れば、もっとレベルアップできるのに。」 Sさんと話しながら下る。 |
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三俣山荘泊 |
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三俣山荘と雲ノ平山荘は同系列で、すぐに変更の連絡をしてくれた。 |
小さな小屋で、通過点のような位置にあるので、泊まる人は比較的少ないようだ。 |
洗面所、トイレも清潔だ。 |
展望食堂 サイフォンとランプ |
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小屋の中 |
お昼過ぎに小屋に着き、展望食堂で昼食にした。私もだいぶ元気になり、うどんを食べられた。槍ヶ岳を見ながら食事が出来るなんて贅沢な。 |
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そしたら土砂降りの雷雨。皆、「行かなくて正解だったね。」 |
小屋一番乗りの私達は、個室はないが隅っこの方が取れたし、間隔も広くゆったりできた。雲ノ平に行かなくてよかった。私は少し休むことにしたzzzzz |
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すっかり元気になり、サイフォンで淹れた美味しいコーヒーも頂いた。 |
ジビエシチュー |
5時頃、「皆さん、夕食の準備が出来ました。食堂にお集まりください」と可愛い声がする。小屋の4歳の男の子だ。頼もしい。 |
ヘリコプターが好きらしく、お気に入りのおもちゃを持ち、絵もいっぱい描いてあった。お母さんが言うには、ヘリコプターも好きだが、月2回、ヘリコプターで届く荷物が楽しみなのそうだ。 |
夕食のシカ肉のシチューは、とても美味しく完食できよかった。冷えて来て、ストーブが点いた。 |
雲ノ平の様子も何となくわかったし、昨日の五郎のカールの感動に比べたら、あれ以上は望めないような気になって来た。 |