甲武信岳A2475m
 10月25日(金)晴れ時々曇り    
 紅葉真っ盛り、大展望
 カーテンもない窓からが瞬いている
 まだ真っ暗なうちから起き出す人がいる。あまりの寒さになかなか布団から抜け出る勇気がでない。
 小屋の中でも吐く息が白く、今朝はマイナス2度。 
  朝食の用意が出来たとの声に、「おなかすいた〜」と健康的なクラ。
質素な食事だが温かくおいしい。 早朝の秀麗な富士
 小屋の周りはが降りて真っ白だ。トイレの手洗い水も凍っている。  
 小屋の人に「またシャクナゲが咲く頃に来ます」と別れを告げ、山頂へ向かう。
 少し登ったところから、雲海の上に大きな富士山が美しい姿を現した。昨日山頂へ登った人が、「あまり天気がいいので、また行ってきました」と写真を撮っていた。
   甲武信岳山頂までは20分ほど。あまり広くはないが、360度の雄大な眺めだ。
 20日前に見た北岳はもう真っ白だ。その時登った鳳凰三山が見える。仙丈甲斐駒も少し白い
 八ヶ岳秩父連山、目の前の金峰山の五丈岩は肉眼でも見える。
 甲武信岳山頂

北アルプス方面は少し雲があるものの、山スパートの大活躍だ。

 ここのところ富士山には見放されていた3人なので、感激もひとしおだ。風が冷たく、とても寒いが飽きることなく素晴らしい景色を堪能した。
 山頂からは千曲川源流をたどり、毛木平へ下るコースが最短距離だが、私たちはあえて十文字峠から毛木平へ下る、展望がよく変化に富んだコースを選んだ。
 まずは鞍部まで一度下り、三宝山(さんぽうやま)へ登る。一等三角点があり、標高は2483mと甲武信岳よりもわずかに高い。岩の上に登ると、甲武信岳の向こうに富士山が美しい。
 どこまで行ってもシャクナゲの群落が見事だ。小屋の人が「シャクナゲはここ2年よく咲いたので、来年はだめかもしれない。来る時は小屋に聞いてください」と言っていた。確かに花芽が少ない。
     
 アップダウンのコース、岩登りが続く
 シラビソの原生林をかなり下ったところに、巨大な”尻岩”出現。ここからは白岩山へ向かい、また急登が待っていた。白い岩肌のギザギザ岩が見えてきた。そこは巻いて進むが、ハシゴあり鎖ありの岩場が続く
 さっきまでよい天気だった山梨県側は白い雲に包まれてきたが、私たちが行く長野県側は1日よい天気だった。
 眼下のカラマツが黄金色に輝いている。急坂を登りきると、見晴らしがよい大山だった。日がふりそそぎ、あまりの気持ちよさにここでお昼にした。
 青々とした川上村の野菜畑が見える。八ヶ岳清里の展望も抜群だ。満腹になったところで、また鎖場。  
 こういうところが好きなJunjunもこれほどとは思っていなかったようだ。今日のコースは昨日に比べ楽だと思っていたが、そんなことはなく長くきつい道だった。
 十文字小屋が建つ峠は広々として、シャクナゲに囲まれた中にあった。初夏には花園になるというが、目に浮かぶようだ。
 青空にカラマツとダケカンバの黄葉と真っ赤なナナカマドが絶妙なコントラスト。  紅葉のカラマツ林
   八丁坂の九十九折をひたすら下ると、ところどころに薪が積んである。「皆さんの心も体も暖まる薪を、小屋まで運んでください」と書いてある。
 ボランティア精神旺盛のJunjun一家は、以前シャクナゲを見に来た時、ザックにつめて運んだそうだ。あまりの重さにちょっと後悔したそうだが。。。
 携帯がつながったので、毛木平までタクシーを呼んだ。
 十文字峠  いつのまにか現れた沢の心地よい流れと、厚く積もったフワフワの落ち葉を踏みしめて歩く。

毛木平の少し手前で千曲川を渡る橋が工事中で、大きく迂回する。予定通り2時に毛木平到着。予約したタクシーが待っていた。駐車場も拡張工事中だった。

 
 この辺りのシラカバ林は驚くほど広範囲に、ベニバナイチヤクソウの大群落がある。シャクナゲがあまりにも有名で、聞いたことがなかったがいつか見に来たい。
 右も左も素晴らしい紅葉が続く川上村は、のどかなドライブも楽しめた。カラマツの山々は東山魁夷の絵のようで、思わずタクシーを停め写真に納めた。
 ヘルシーパーク川上で汗を流し、再び小海線の信濃川上へ向かった。  川上村風景
 小淵沢で電車待ちの間、以前から食べてみたかった立ち食いそばを食べ、スーパーあずさに乗った。
 思っていたよりきつく大変だったが、やれば出来るもので充実した山行ができた。
 次はぜひシャクナゲの頃登ってみたい。そして、山小屋で一緒だった人たちが、国師から金峰へ縦走すると聞き、そんなロングコースもいいなと思っている。
     photo by yukky&kura